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9月, 2008

◎10月の月例会のご報告

関連記事: JASTJ活動報告, 2008年

小室広佐子さん長村洋一さん有本健男さん田辺功さん金澤一郎さん松永和紀さん
10月の例会は25日(土)、食と健康をテーマとした、科学と社会シンポジウム「現代を見る目、めざす未来〜食と健康のコミュニケーション」を開催。会場のJSTホール100数席は、食品衛生従事者からサイエンスライターまで幅広い職種の来場者で満席となった。定年退職された方や主婦の参加も見られ、生きる源「食と健康」への関心の高さがうかがえた。

日本学術会議会長・金澤一郎さんの基調講演の演題は、「科学と社会の情報交換」。食や医療の現場からあがる問題に触れ、「科学者とメディア、一般人、それぞれの立場や情報の理解と歩み寄りが必要」と説いた。

ディスカッション「現代を見る目、めざす未来」では、小出五郎会長の司会のもと、会場からの質問も受けながら、パネリストの間でコミュニケーションやジャーナリズムのあり方が論じられた。

事故米問題について、科学ライターの松永和紀さんは、「汚染米」でなくあえて「事故米」と言いたいと主張。「事故米には大きく4種類あるが、普通に食べる分には健康被害のないものが大半。だがメディアは一括りに危ないと伝え、問題の本質をきちんと伝えない」と問題を語った。

鈴鹿医療科学大学教授・長村洋一さんは「安全であること知らずに心配している人が多い。安全性についてもっと伝えていいのでは。年間140万人の人が餓えている中で、本当に毒性があるか疑わしい食べ物を捨てる社会とは」と、現状を問うた。

中国製ギョウザなど、他の食の問題も、もとは情報の精査やコミュニケーションのあり方の問題にたどりつくという点から議論が展開。メディア・コミュニケーション研究が専門の東京国際大学准教授・小室広佐子さんは、「危険性や正しい情報を専門家が一般人に伝える努力も必要。非常時のみの一方通行コミュニケーションでなく、平常時のコミュニケーションも大切」と主張。

健康情報番組などで、科学的に不正確な情報が広く伝わっていることも話題になった。医療ジャーナリストの田辺功さんは、「食でも医療でも、100%安全ということはないことを多くの人に理解してほしい」と語った。

JST社会技術研究開発センター長・有本建男さんは、「世界科学会議で、21世紀の科学は社会のためにと掲げられて10年。問題が起きる時に対応する仕組みや市民の科学リテラシー向上を考えるよい機会。今後もこういうシンポジウムで考えていければ」と語った。

(文 大井さなえ・第7期塾生/写真 浅井千晶・第6-7期塾生)


科学と社会シンポジウム
「現代を見る目、めざす未来 ~食と健康のコミュニケーション」
開催日:2008年10月25日(土)13:00~16:00
場所:JSTホール(東京都千代田区四番町5-3) 開場:12:30


汚染米流通、中国ギョウザ、医療危機などに際し、メディアの伝える情報の量と質はこれでいいのか。よりよいコミュニケーションのためには、どこを変えることが必要か。
ふつうの人と専門家とのコミュニケーションはなぜ難しいか。どうすれば情報ギャップを 克服できるか。
科学技術が未来社会のあり方と深くかかわる時代。私たちの選択の基礎となる科学と社会のコミュニケーションについて討論するシンポジウムを開きます。
現場経験豊かなジャーナリストと専門家と市民が参加し、めざしたい未来社会から現代を 考え、課題を提言します。

― 実施概要 ―

◇当日プログラム(敬称略)

【第一部】 基調講演:「科学と社会の情報交流」 金澤一郎 (日本学術会議会長)

【第二部】 パネルディスカッション:「現代を見る目、めざす未来」
長村洋一 鈴鹿医療科学大学教授 (食のリスクコミュニケーションが専門)
小室広佐子 東京国際大学准教授 (情報と人間の理解や行動の関係を研究)
田辺功 ジャーナリスト/元朝日新聞編集委員 (医療現場が長年のフィールド)
松永和紀 フリーライター(「メディア・バイアス」著者)
有本建男 JST社会技術研究開発センター長(科学技術の社会への定着に関心)
小出五郎 コーディネーター、JASTJ会長、元NHK解説委員

◇共催:
JASTJ(日本科学技術ジャーナリスト会議 会長:小出五郎)
JST(科学技術振興機構 理事長:北澤宏一)
SVS(サイエンス映像学会 会長:養老孟司)

◇後援
 日本学術会議(会長:金澤一郎)