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11月, 2008

◎11月の例会のご報告

関連記事: JASTJ活動報告, 2008年

2008年11月の例会の模様
11月の例会は、国立感染研究所の西條政幸さんをお招きした。小児科医でもある西條さんは、ザンビアなどアフリカに何度も滞在し、感染症の調査や研究にあたっている。爆発的に感染するといわれる新型インフルエンザなどの新興感染症について現状や対策をお話しいただいた。

新興感染症は「知られていない病原体による感染症」(西條さん)。最近確認されたものでは、ニパウイルス脳炎やSARS(重症急性呼吸器症候群)などがある。そして今最も爆発的に流行すると懸念されるのがH5N1型インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)だ。鳥からヒトへ、さらにヒトからヒトへと感染すると新型インフルエンザの発生となり大流行が危ぶまれる。研究者や厚生労働省は対策をとるよう呼びかけ、マスメディアも報道している。ところが西條さんは「少しやりすぎ」と話す。個人的見解としながらも「H5N1型インフルエンザの流行はないとは言いきれないが、致死率が50%を超えるような現状ではまず起こらないだろう」と本心を述べる。新型インフルエンザは死亡率がきわめて高いといわれるが、ウイルスにとってメリットはない。人が死んでしまえばウイルスも一緒に死んでしまうからだ。「死亡率が下がらないと感染は広がらない」。

最近の新興ウイルス感染症の特徴は、病原体の宿主(ウイルスなど病原体が共生する生物)から直接ヒトには感染しない点。間接動物を介してヒトに感染する。2000年にウガンダでエボラ出血熱を流行させた病原体エボラウイルスの宿主はオオコウモリ。エボラ出血熱の流行では、オオコウモリの尿を介してサルなどの霊長類が感染し、それを食べてヒトは感染した。エボラ出血熱の流行の拡大は、注射器の使い回しや十分な感染予防策を講じることの出来ない状況による院内感染が原因である。「食べ物を野生動物に依存しなければ感染は減る」と西條さんは話す。

アメリカやヨーロッパなど先進国でも輸入動物から感染が起きた例がある。エボラ出血熱やマールブルグ出血熱、サル痘などだ。これらのウイルスには、感染動物との濃厚な接触がなければ感染しない。しかし、ウイルスを持つのは動物であるため根絶は不可能だ。「遠くの国で流行する比較的小さな感染症でさえ対応できなければ、日本は世界的流行に対応できるはずがない。対策の積み重ねが大事」。西條さんは、新興感染症に対応できる高度安全研究施設の充実を求めている。
(文 佐藤成美・第6-7期塾生)


「新型ウイルス:感染爆発対策はできているか」

新型ウイルスの感染爆発は、もはやSFとはいえない段階にあるといいます。感染の水際の備えはどうなっているのか。国内へのウイルス侵入が確認されたとき、感染拡大をどのように抑えるのか。感染爆発が始まったとき、社会コントロールは可能か。そのほか、さまざまな課題について議論をしておきましょう。

テーマ: 「新型ウイルス:感染爆発対策はできているか」
講 師: 西條 政幸氏
(国立感染症研究所ウイルス第一部第三室長)
日 時: 2008年11月28日(金)午後6時30分~8時30分
場 所: 関西学院大学東京丸の内キャンパス講義室