科学ジャーナリスト塾第15期(2016年9月〜2017年2月)の記録

第3回(2016年10月5日(水)開催)「質問とインタビューの仕方」報告

相手からのメッセージを引き出す
菊池結貴子(塾生)

「質問とインタビューの仕方」をテーマにした第3回では、NHK解説委員の室山哲也氏より指導を受けた。ノートに知識を残すよりも体感を得てほしいとのことで、メモは控えめに、対話と実習をメインにした実践的な回となった。

 取材の練習として、カウンセリングに挑戦した。塾生同士で会話をするのだが、相手が何を伝えたいかを、話の中から引き出すことが求められた。これが私にはとても新鮮な体験で、日ごろ「自分の気になる点を尋ねる」形でばかり会話していることを実感した。「相手の話したいことを掘り下げる」となると、見える世界が違う。話を受け止め、感情の乗っていそうな点について質問するうちに、自分では考えもしない方向へ話が深まっていく感覚を覚えた。

 インタビュワーが事前に考えていた質問だけを聞いていけば、取材が形だけのものになってしまう。一方、発せられるメッセージをそのまま伝えれば、インタビュワーの存在に意味がなくなってしまう。こうした問題について、室山氏は「インタビューは『予定していたことを上回る内容を作っていく共同作業』である」と語った。取材を受ける側から「聞いてくれてありがとう」という言葉が出るほど、それまで自覚がなかった思いまでも口をついて出るような聞き方が理想とのこと。実際にその域に達することはなかなか出来ないかもしれないが、日常生活でもこれを意識してみると、たくさんの発見がありそうだ。

伝えるための「聞く力」
石川航平(塾生)

 2016年10月5日、内幸町の日本プレスセンタービルで、3回目の科学ジャーナリスト塾が開催された。今回のテーマは「聞く力」。NHK解説委員でテレビプロデューサーの室山哲也さんが講師を務めた。

 前半は、室山さんから参加者に向けて、対話形式での質問が投げかけられた。それぞれ異なるテーマを持っている参加者であった。例えば、サンゴに関心がある参加者であれば、どのような点を観察するのか、どういうきっかけで関心を持ったのか、という質問であった。

 各自に共通して「聞く力」が文章を書く上で重要な「取材する力」に直結するという。続いて「今、話している相手をカウンセリングする」というお題が出され、約5分間、グループに分かれ、相手に質問をする時間が設けられた。初対面にもかかわらず、塾生同士は終始、打ち解けた雰囲気であった。

 最後は「模擬記者会見」と題し、塾生2人に対して他の塾生を質問する力を試した。演習では、普段、つながりはない塾生に対して、アドリブで質問を行った。こうすることで、物事に対して角度を変えて質問することで企画力が養われるらしい。多岐に渡った質疑で、塾生は多くの視点を手に入れることができたように感じた。

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第3回塾のようす(撮影:都丸亜希子)   塾生のお土産シークワーサーが
                    会見の話題に