科学ジャーナリスト賞2011

【科学ジャーナリスト大賞】(1点)

日本放送協会広島放送局
チーフプロデューサー 春原(すのはら)雄策 殿
ディレクター     松木 秀文 殿
『封印された原爆報告書』の番組に対して
【授賞理由】
 原爆被災者に対して日本自らがおこなった医学的調査の報告書を、密かに米国に渡して核戦略に利用されていたという驚くべき事実を掘り起こし、スクープ・ドキュメンタリーとしてまとめあげた見事な作品。

【科学ジャーナリスト賞】(2点・順不同)
病理診断医、任意団体サイエンス・サポート・アソシエーション代表
榎木 英介 殿
「博士漂流時代 『余った博士』はどうなるか?」
(ディスカバー・トゥエンティワン)の著作に対して
【授賞理由】
 いわゆるポスドク問題、博士余剰の実態、原因、問題点などを多くのデータを示して浮き彫りにし、鋭く分析したうえ、これからどうすべきか著者なりの解決策も提言している。時宜にかなった好著。

京都大学霊長類研究所長、国際高等研究所学術参与 松沢 哲郎 殿
『想像するちから―チンパンジーが教えてくれた人間の心』(岩波書店)の著作に対して
【授賞理由】
 30年におよぶチンパンジー研究の成果を「こころ」というキーワードに凝縮して分かりやすく解説した。科学者が自らの研究内容と「科学者のこころ」を伝える優れた啓蒙書の見本ともいうべきもの。

 科学ジャーナリスト賞2011の選定にあたり、一次審査を通過した作品は、次の13点でした(五十音順・敬称略)。
1 アカデミアと軍事
 松尾一郎、小宮山亮麿  朝日新聞
2  「命を削る」を中心とした一連の高額医療問題キャンペーン
 高額医療問題取材班(代表、河内敏康)  毎日新聞 
3 科学は誰のものか―社会の側から問い直す
 平川秀幸  NHK出版
4 生殖・発生の医学と倫理:体外受精の源流からiPS時代へ
 森崇英  京都大学学術出版会
5 生物多様性とは何か
 井田徹治  岩波書店
6 先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!
 小林朋道  築地書館
7 想像するちから―チンパンジーが教えてくれた人間の心
 松沢哲郎  岩波書店
8 電子ブックで鈴木章氏の業績を解説
 北海道大学CoSTEP  北海道大学CoSTEP
9 「認知症を治せ!」
 吉川美恵子、白川友之 NHK
10 博士漂流時代「余った博士」はどうなるか?
 榎木英介  ディスカヴァー・トゥエンティワン
11 閃け!棋士に挑むコンピュータ
 田中徹、難波美帆  梧桐書院
12 「貧者の兵器とロボット兵器」
 新延明、井出真也、伊藤純  NHK
13 「封印された原爆報告書」
 春原雄策、松木秀文  NHK

<科学ジャーナリスト賞選考委員(五十音順、敬称略)> 
〔外部委員〕
相澤 益男(総合科学技術会議議員)
浅島 誠(東大名誉教授、産業技術総合研究所フェロー)
白川 英樹(筑波大学名誉教授、ノーベル化学賞受賞者)
村上 陽一郎(東洋英和女学院大学 学長)
米沢 富美子(慶大名誉教授)

〔JASTJ内部委員〕
小出 五郎
柴田 鉄治
瀬川 至朗
滝 順一
武部 俊一