科学ジャーナリスト塾第16期(2017年9月〜2018年2月)の記録

第16期科学ジャーナリスト塾が無事終了

JASTJ副会長 瀧澤美奈子

 2月15日、第16期科学ジャーナリスト塾の修了式を行い、今期の全カリキュラムが無事終了した。

修了式にて科学ジャーナリスト16期塾生と理事の集合写真。(撮影 柏野裕美)

 室山哲也塾長から当日出席した塾生13名に修了証書、6名に皆勤賞の賞状と図書カードが贈られた。皆勤を逃した塾生も、ほぼ皆勤の者が多かったことは運営側として大変嬉しいことだった。

 当日は「優れたジャーナリズムには質問力を磨くことが重要」という室山塾長の考えのもと、塾生と集まった10数名の理事との質疑応答が、時おり笑いをまじえながら1時間半つづいた。

 一例を紹介すると、「自分の原稿を書こうと考えたときに、“言いたいこと”がないことに気づいた。自分の信念をどう作っているのか?」との質問に対して、鴨志田公男理事は「自分の役目は主義主張より情報提供だと思っている。“まわりの人に伝えたい”という気持ちが発端となって我々の仕事がある。声高に“こうあるべき”というより、情報を提供することで読者に判断を委ねる姿勢が大事ではないか」と答えた。

 また他の塾生からの「歴史的な真実も含め、難しいことに対してどうやったら真実にせまれるか?」との問いには、「基本的には現存する人に取材するのがジャーナリストの仕事であり、ベストを尽くす」、「ジャーナリズムは真実ではなく、事実を報道する」、「限られた期間で取材されたもので構成されているのが報道である以上、ディレクターの数だけ真実があると思った方がよく、それがメディアリテラシーではないか」などの発言が理事たちから相次いだ。

 科学ジャーナリスト塾の運営委員会では、今年の経験をふまえ、塾生のみなさんによりよい学びの場を提供できるよう、来年のカリキュラムの議論を進めている。多くの会員のみなさんが塾に参加していただくことを今から心待ちにしている。