未来の食・昆虫食を食べてみた!

 

会員 越智小枝

「食用虫:未来の食の再考」と題されたプレトリア大学主催の現地視察に12月1日、参加した。同大学は食品科学が盛んであり、専用校舎には専属シェフが調理を研究する厨房まである。そこでは虫の粉を使った色鮮やかな料理も振る舞われた。

コオロギの粉入りマカロンを紹介するシェフ(左)と研究者

材料はコオロギの一種の幼虫と、モパニワームという3㎝程の乾燥イモムシ。それだけで食べると干しエビのような食感と香りがする。虫の粉は他の調味料と熱変性の温度も違うため、最適な調理法を模索するだけでも途方もない試行錯誤が必要だという。

材料となるモパニワーム(ヤママユガの一種の幼虫)

昆虫はたんぱく質や微量元素などの栄養価が高く、またSDGsの観点からも優れた食品だ。1kgのたんぱく質を合成するのに必要な植物の量は、牛肉だと約8㎏、鶏肉は2㎏。虫は1.8㎏程度の飼料で済む。昆虫はライフサイクルが短く、飼育スペースが小さいことなどから量産性にも優れている。アフリカでは、貧困層の女性たちが授乳より働きに出ることを優先することも多く、乳幼児のたんぱく質摂取不足は深刻な問題だ。彼らの食事に虫の粉末を混ぜることで栄養改善につながり得る。また失業率が約30%の南アフリカでは、比較的単純作業の昆虫の飼育は雇用も生み得るという点も魅力的だ。

しかし、昆虫食は流通していない。なぜか。文化的な忌避に加え、食品衛生管理基準がないことが問題だという。たとえば重金属などの環境汚染の濃縮の程度は昆虫の種類ごとに異なる。突然変異による毒性獲得がないかどうかの検証も必要だ。安全性基準を上げれば、コスト増にもつながるため、このバランスが難しいようだ。

第13回科学ジャーナリスト世界会議 2025年 南アフリカ・プレトリア ページTOPへ戻る