「科学ジャーナリスト賞2017」の受賞作品が決まりました

 日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ・小出重幸会長)は、このほど開いた選考委員会(委員名は別掲)で2017年度の科学ジャーナリスト賞の贈呈作品を下記の通り決定しました。表彰式は、5月16日午後6時30分から東京・内幸町のプレスセンタービル10階ホールで行い、外部選考委員から受賞者に記念の楯が贈られます。

 科学ジャーナリスト賞の選考は、今年で12回目。応募作品は、新聞3、書籍38、雑誌3、映像25、画像2、企画展示2の計73作品。このなかから1次選考で11作品に絞り、選考委員会で大賞1件、科学ジャーナリスト賞3件を決めました。

科学ジャーナリスト大賞(1件)

中国新聞編集局ヒロシマ平和メディアセンター記者 金崎由美(かなざき・ゆみ)殿、
同 報道部記者 藤村潤平(ふじむら・じゅんぺい)殿、
同 報道部記者 馬場洋太(ばば・ようた)殿
連載「グレーゾーン 低線量被曝の影響」(2016年3月~11月随時連載)に対して

[贈呈理由]科学的な見方が分かれる低線量放射性被曝の健康影響について、地道にきめ細かい取材を通じて多角的に迫った労作。被爆地の新聞ならではの、原爆被爆と福島原発事故による被曝とのつながりを求めつつ、バランスのとれた丁寧な取材が光っている。

科学ジャーナリスト賞(3件・順不同)

NHK取材班代表、NHK広島放送局放送部副部長 松永道隆 殿
「ゲノム編集の衝撃『神の領域』に迫るテクノロジー」(NHK出版)の著作に対して

[贈呈理由]『ゲノム編集』の将来性をいち早く見抜いて、早くから海外取材にも取り組み、この技術が社会に及ぼす計り知れない影響について、分かりやすくまとめた好著である。素朴な疑問を積み重ねていく取材態度がとりわけ高く評価された。

早稲田大学政治経済学術院教授 瀬川至朗 殿
「科学報道の真相――ジャーナリズムとマスメディアの共同体」(筑摩書房)の著作に対して

[贈呈理由] STAP細胞報道や福島原発事故報道の失敗、地球温暖化に対する報道の揺らぎ、その3つをテーマに科学報道の特色を分析し、その在り方を考察した好著。科学ジャーナリストを目指す人にとっては格好の教科書となろう。

NHKエデュケーショナル 特集文化部 ディレクター 佐々木健一 殿、
同 統括プロデューサー 高瀬雅之 殿、
NHK編成局コンテンツ開発センター エグゼクティブ・プロデューサー 丸山俊一 殿
『ブレイブ 勇敢なる者「Mr.トルネード 気象学で世界を救った男」』(2016/5/2)の番組に対して

[贈呈理由]若くして渡米し日本ではあまり知られていない気象学者、藤田哲也博士の業績を分かりやすく紹介した作品。航空機落下事故の原因としてダウンバーストを最初に主張し、今では広く認められているが、その背後に、学生時代に調査にあたった長崎原爆の爆風調査があったという事実は圧巻だ。

科学ジャーナリスト賞選考委員(50音順、敬称略)
〔外部委員〕
相澤益男(国立研究開発法人科学技術振興機構顧問)、浅島誠(東大名誉教授、東京理科大学副学長)、白川英樹(筑波大学名誉教授)、村上陽一郎(東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授)、米沢富美子(慶應大学名誉教授)
〔JASTJ内部委員〕
小出重幸、柴田鉄治、滝順一、室山哲也、横山裕道