日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ、佐藤年緒会長)は、このほど開いた選考委員会で2018年度の科学ジャーナリスト賞の受賞作品を下記の通り決定しました。贈呈式は、5月10日午後6時30分から東京・内幸町のプレスセンタービル10階ホールで行い、選考委員から受賞者に記念の盾が贈られます。
科学ジャーナリスト賞の選考は、今年で13回目。応募作品は、新聞5点、書籍・雑誌55点、映像25点、ウェブ・企画展示7点の合計92 作品。この中から1次選考で14作品に絞り、最終選考委員会で科学ジャーナリスト大賞1点、科学ジャーナリスト賞3点、特別賞1点を選びました。
科学ジャーナリスト大賞(1件)
信濃毎日新聞社編集局 「つながりなおす」取材班 代表 小松恵永(こまつ・けえ)殿
「つながりなおす 依存症社会」(2017/1/3〜6/29)の連載に対して
[贈呈理由] 薬物やギャンブル、アルコールなど様々な依存症に蝕まれる現代社会を幅広い取材に基づき多面的に捉えた秀逸なキャンペーン報道である。
科学ジャーナリスト賞(3件・順不同)
ドキュメンタリー映画監督・プロデユーサー 佐々木芽生(ささき・めぐみ)殿
「おクジラさま ふたつの正義の物語」(集英社)の著作に対して
[贈呈理由]クジラやイルカ漁への国際的な批判に対し、関係者への直接的な取材に基づき、異なる文化に立脚する多様な視点を提供した好著である。
文筆家 川端裕人(かわばた・ひろと)殿
「我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な『人類』たち」(講談社)の著作に対して
[贈呈理由]次々と新発見が続くアジアの多様な原人について、化石発掘現場などを丹念に取材し人類進化の謎を紹介した。知的な興奮を呼ぶ好著である。
日本放送協会(NHK)報道局 政経・国際番組部 ディレクター 安部康之(あんべ・やすゆき)殿、同 チーフ・プロデューサー 相沢孝義(あいざわ・たかよし)殿
クローズアップ現代+「中国“再エネ”が日本を飲み込む!?」(2017/12/4)の番組に対して
[贈呈理由] 再生可能エネルギーの大量導入を進める中国の動向を紹介し、立ち遅れた日本の状況を浮き彫りにした。インパクトが大きく日本のエネルギー政策を考える材料を提供した。
特別賞(1件)
理科ハウス 館長 森裕美子(もり・ゆみこ)殿
世界一小さな科学館「理科ハウス」の設立・運営に対して
[贈呈理由]神奈川県逗子市の住宅地にある手作りの科学館。「身近な科学館」を目指した設立趣旨と地域コミュニティから親しまれている活動ぶりが総合的に評価された。
科学ジャーナリスト賞選考委員(50音順、敬称略)
〔外部委員〕
相澤益男(国立研究開発法人科学技術振興機構顧問)、浅島誠(東京大学名誉教授、帝京大学特任教授)、白川英樹(筑波大学名誉教授)、村上陽一郎(東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授)、米沢富美子(慶應大学名誉教授)
〔JASTJ内部委員〕
小出重幸、柴田鉄治、佐藤年緒、林勝彦、室山哲也〔同賞担当理事、第一次選考審査〕 滝順一