科学ジャーナリスト塾第16期(2017年9月〜2018年2月)の記録

科学ジャーナリスト塾前半部が終了

塾サポーター 早野富美

 「プロと学ぼう!〜企画する、取材する、伝える〜」と題し、9月7日から始まった第16期科学ジャーナリスト塾。前回お伝えした塾の様子から約2ヵ月が経ち、14人の塾生は前半部の講義日程を終了しました。その間、1回の現場取材と3回の講義が開かれました。

 今回は3回の講義の様子をお伝えします。

 

●大切なのは読者を想像することと取材対象と向き合うこと

 10月12日は第4回目の塾が開かれました。この日は朝日新聞科学コーディネーターの高橋真理子さん、それに共同通信社客員論説委員、JSTサイエンスポータル編集長の内城喜貴さんの2人を講師に迎え、「文章の書き方、構成の仕方」をテーマにお話を伺いました。

 最初に高橋さん、次に内城さんが自己紹介で、報道に関わる仕事に就くようになった経緯をそれぞれ語りました。同じ新聞を媒体とした仕事に就きながらも、高橋さんは理系出身、内城さんは文系出身とバックグラウンドは全く異なることが披露され、塾生は高い関心を持って2人の話に聞き入っていました。

講師の高橋真理子さん(左)と内城喜貴さん(撮影 都丸亜希子)

 今回は講師が前半と後半に担当を分けて講義をするのではなく、掛け合いで進めるスタイル。具体的な話を交えながらの講義だったので、塾生は文章の書き方と構成の仕方について学ぶことができたと思います。最後に高橋さんは「どうしたら読者に伝わるか、読者を想像することが大切」、内城さんは「取材対象をしっかり理解できていないと伝わらない」とまとめました。

 

●写真を撮りタイトルを付けて発表

 11月2日は第5回目の塾が開かれました。この日は塾長の室山哲也さんによる講義で、「プレゼンテーションの仕方」がテーマ。

 今回の塾では、塾生は9月28日に塾企画とし現場取材した「国際福祉機器展」またはその他の場所で現場取材したものをまとめ、それにタイトルを付けて発表しました。一人ずつ作品を発表するごとに、まわりの塾生や室山塾長らからコメントや感想などが出されました。「テーマと内容が一貫していてわかりやすかった」というポジティブな意見もあれば「何を伝えたいの?」「それを伝えたいのであれば、ここにこれを持ってきたほうがよかったのでは?」といった、改善すべき点があげられるなど、たくさんの意見が出され、熱い議論で盛り上がりました。

みんなの前で発表する塾生(撮影 都丸亜希子)

 塾生にとっては自分の作品が教材となったため、今後の良い学びにつながったことでしょう。この経験をもとに自分なりの何かをつかんだのではないかと思います。

 

●文章講座前半部終了

 11月16日は第6回目の講義で、「編集の仕方、まとめかた」をテーマに開かれました。この日の講師は元日経サイエンス編集長、JASTJ会報編集長の高木靭生さん。

講師の高木靭生さん(撮影 都丸亜希子)

 講師を迎えての講義はこれが最後。この日は事前に出されていた宿題の発表から始まりました。発表時間は1人2分。持参した雑誌や新聞のまとめ方について意見を述べました。

 塾生らの発表の後、高木さんは編集とは何か、編集のポイントはどこにあるかなどを分かりやすく説明。編集については、誰が読むのか、誰が見るのかという「読者の目線」を意識すること、そして何を伝えたいかによって取材先の選択や記事の作り方や表現の仕方が変わってくるというポイントが示されました。高木さんが編集現場の知見を踏まえて明かす、JASTJ会報の狙いや日経サイエンス編集長時代の秘話などに聞き入る塾生の眼差しが印象に残ります。

持ち寄った雑誌を見せながら意見を述べる塾生(撮影 都丸亜希子)

 前半部の講義を終えて塾生たちはいよいよ後半部へ向けて作品を制作し、発表の準備に入っていきます。前半部で学んだことを作品に反映させ、講師陣の指導やアドバイスを受けながら納得のいく作品を完成させてほしいと思います。

(2017年12月21日掲載)