科学ジャーナリスト塾第16期(2017年9月〜2018年2月)の記録

放射線医学研究所に参加して

塾生 梶浦真美

 10月16日、放射線医学研究所の見学会に参加しました。

 最初に、研究所の紹介として「放射線の医学利用」と「放射線による障害の予防と治療」という、「攻め」と「守り」の両面から社会貢献をめざす研究機関であるというお話を伺った後、緊急被ばく医療施設、重粒子線棟、画像診断棟を訪れました。

 緊急被ばく医療施設は「守り」の部分を担う施設で、専門の職員が24時間体制で待機しておられるそうです。重度の被ばくを想定して設置された除染台の前で、職員の方が「幸い、こちらはまだ使用したことはありません」と話しておられたのが印象的でした。

 「攻め」の研究を行う重粒子線棟、画像診断棟では、がん治療に必要な重粒子線を作る装置HIMACや開発中のPET装置などを見学しました。いずれも世界最先端の技術ですが、コストの低減や精度の向上を目指して現在も改良を重ねているとのことです。

 

重粒子線がん治療装置HIMAC(模型)
1993年に完成した世界初の重粒子線がん治療装置で、サッカー場ほどの大きさがある。その後、普及に向けての小型化研究が進められ、現在では、3分の1ほどの規模の普及型施設が群馬大、佐賀県、神奈川県で稼働している。

 

 「守り」にしても「攻め」にしても、健康と安心を支えるための研究に終わりはないということを感じた見学会でした。説明をしてくださった方々の生き生きとしたお話ぶりが心に残っています。ジャーナリスト塾第4回で教えていただいた「自分の目で見る」ことの大切さを体感できたのも、大きな収穫でした。

(2017年12月21日提出)