科学ジャーナリスト塾第16期(2017年9月〜2018年2月)の記録

科学ジャーナリスト塾開始から1ヶ月

塾サポーター 柏野裕美 

「プロと学ぼう!〜企画する、取材する、伝える〜」 と題し、第16期科学ジャーナリスト塾が14名の塾生を迎えて9月7日に始まりました。今期の塾では、塾生ひとりひとりが自らテーマを決めて企画を立て、取材や講師陣による添削等をとおして作品に仕上げるまでの一連のプロセスを学びます。

 初回から第3回までの講義を経た現在、塾生たちは企画書の2回目の練り直しに取り組んでいるところです。

 それでは、開講式からこれまでの様子をお伝えいたします。

 

●塾生同士が活発に交流する開講式

 9月7日、東京・内幸町の日本プレスセンタービル 8階会議室で開講式が開かれました。

 塾長の室山哲也理事が「主役は皆さん。 塾が終わったときに、自分なりに勉強になったことが一つでも得られるよう取り組んでください」と挨拶し、 各回の講師を務める理事や事務局員、塾の運営をボラ ンティアで支える元塾生らサポーターを紹介しました。

 ガイダンスでは、塾長が塾のカリキュラムとねらいを説明し、次回の講義にむけた宿題として「これが東京だ」をテーマに した写真1枚と、各々の興味に応じた企画案をA4 用紙1枚にまとめてくるようにとの説明がありました。

 「とにかく書いてみる。書けば次の扉が開く」という室山塾長のアドバイスに、塾生は熱心に耳を傾けていました。 

開講式に集まった塾生たちに挨拶する室山塾長(左端)ら(撮影 高木靱生)

 その後、会場では塾生と 塾関係者が「私のキーワード」を書いたA4 用紙1枚の紙を持って歩き回りながら自己紹介をする「回遊コミュニケーション」を行い、和やかな雰囲気のなかでお互いを知り合いました。

自己紹介しあう塾生(撮影 都丸亜希子)

 最後に、柴田鉄治理事から「科学ジャーナリズムとは──失敗から考える」をテーマに、日本の科学 ジャーナリズムが何をしてきたか、何ができなかったのか、についての講演がありました。

 

●1枚の写真に企画書の立て方を学ぶ

 9 月 14 日に開催された第2回の講義は「企画の立て方、取材・写真撮影の仕方」で、元NHKエデュケーショナル社長の軍司達男さんと室山哲也塾長が講師を務めました。

 まず、NHKでプロジェクトXやNHKスペシャルなど数々のドキュメンタリーを手がけてきた元プロデューサーの軍司達男さんから、企画が生まれるまでの発想の手がかりやアイデアを発展させる方法について、プロジェクトXが誕生した経緯などを交えたお話があり、塾生はみな一様に真剣な表情で聞き入っていました。

 室山塾長からは写真の撮り方について、 “写真が持つ意味”や“切り取った断面図の向こうに物語があるか”などのアドバイスがありました。塾生たちが撮影した写真はバラエティに富んでおり、表現に多様性があることをお互いに実感することにもなりました。

 この日の講義をふまえ、前回提出した企画書を練り直して再提出するという宿題が課されました。

 

●展示会での現場取材と企画書の練り直し「問題意識を明確に」

 科学ジャーナリスト塾が開催されて間もないタイミングで、国際福祉機器展が東京ビッグサイトで開催されました。塾生のテーマ選びに役立つよう設定された現場取材の機会です。塾生が展示会に足を運んだのは、2日目の28日。平日ということもあり、参加時間は各自の都合に合わせて、自由に取材をして回りました。

ブースで機器の試着をしながら取材をする16期塾生の岡本有司さん(撮影 柏野裕美)

 出展ブースで足首アシスト装置を取材していた塾生の岡本有司さんは「機器の安全性を設計面でどのようにクリアしているかなどを具体的に聞くことができた」と、取材の感想を話してくれました。

 また同日夜には、第2回講義の「企画の立て方」の内容を受けて塾生たちが書き直した企画書を、さらに練り上げるための講義がプレスセンターで開かれました。

 各自30秒で企画を売り込む発表をした後、塾長やアドバイザー、周りの塾生からフィードバックを受け、どこを改善すべきかを考えるヒントが得られた講義になったようでした。

 多くの塾生に「その企画で訴えたいオリジナルの問題意識は?」という問いが投げかけられていたのが印象的でした。

 科学ジャーナリスト塾は来年2月までほぼ隔週の木曜日に全10回にわたって開講、塾生は座学と現場取材を組 み合わせたカリキュラムで実践的に学んでいきます。

 次回の報告をお楽しみに!

(2017年10月7日掲載)