科学ジャーナリスト塾

16期生の活動を不定期でお伝えしてまいります。

科学ジャーナリスト塾前半部が終了

塾サポーター 早野富美

 「プロと学ぼう!〜企画する、取材する、伝える〜」と題し、9月7日から始まった第16期科学ジャーナリスト塾。前回お伝えした塾の様子から約2ヵ月が経ち、14人の塾生は前半部の講義日程を終了しました。その間、1回の現場取材と3回の講義が開かれました。

 今回は3回の講義の様子をお伝えします。

大切なのは読者を想像することと取材対象と向き合うこと

 10月12日は第4回目の塾が開かれました。この日は朝日新聞科学コーディネーターの高橋真理子さん、それに共同通信社客員論説委員、JSTサイエンスポータル編集長の内城喜貴さんの2人を講師に迎え、「文章の書き方、構成の仕方」をテーマにお話を伺いました。

 最初に高橋さん、次に内城さんが自己紹介で、報道に関わる仕事に就くようになった経緯をそれぞれ語りました。同じ新聞を媒体とした仕事に就きながらも、高橋さんは理系出身、内城さんは文系出身とバックグラウンドは全く異なることが披露され、塾生は高い関心を持って2人の話に聞き入っていました。

講師の高橋真理子さん(左)と内城喜貴さん(撮影 都丸亜希子)

 今回は講師が前半と後半に担当を分けて講義をするのではなく、掛け合いで進めるスタイル。具体的な話を交えながらの講義だったので、塾生は文章の書き方と構成の仕方について学ぶことができたと思います。最後に高橋さんは「どうしたら読者に伝わるか、読者を想像することが大切」、内城さんは「取材対象をしっかり理解できていないと伝わらない」とまとめました。

写真を撮りタイトルを付けて発表

 11月2日は第5回目の塾が開かれました。この日は塾長の室山哲也さんによる講義で、「プレゼンテーションの仕方」がテーマ。

 今回の塾では、塾生は9月28日に塾企画とし現場取材した「国際福祉機器展」またはその他の場所で現場取材したものをまとめ、それにタイトルを付けて発表しました。一人ずつ作品を発表するごとに、まわりの塾生や室山塾長らからコメントや感想などが出されました。「テーマと内容が一貫していてわかりやすかった」というポジティブな意見もあれば「何を伝えたいの?」「それを伝えたいのであれば、ここにこれを持ってきたほうがよかったのでは?」といった、改善すべき点があげられるなど、たくさんの意見が出され、熱い議論で盛り上がりました。

みんなの前で発表する塾生(撮影 都丸亜希子)

 塾生にとっては自分の作品が教材となったため、今後の良い学びにつながったことでしょう。この経験をもとに自分なりの何かをつかんだのではないかと思います。

文章講座前半部終了

 11月16日は第6回目の講義で、「編集の仕方、まとめかた」をテーマに開かれました。この日の講師は元日経サイエンス編集長、JASTJ会報編集長の高木靭生さん。

講師の高木靭生さん(撮影 都丸亜希子)

 講師を迎えての講義はこれが最後。この日は事前に出されていた宿題の発表から始まりました。発表時間は1人2分。持参した雑誌や新聞のまとめ方について意見を述べました。

 塾生らの発表の後、高木さんは編集とは何か、編集のポイントはどこにあるかなどを分かりやすく説明。編集については、誰が読むのか、誰が見るのかという「読者の目線」を意識すること、そして何を伝えたいかによって取材先の選択や記事の作り方や表現の仕方が変わってくるというポイントが示されました。高木さんが編集現場の知見を踏まえて明かす、JASTJ会報の狙いや日経サイエンス編集長時代の秘話などに聞き入る塾生の眼差しが印象に残ります。

持ち寄った雑誌を見せながら意見を述べる塾生(撮影 都丸亜希子)

 前半部の講義を終えて塾生たちはいよいよ後半部へ向けて作品を制作し、発表の準備に入っていきます。前半部で学んだことを作品に反映させ、講師陣の指導やアドバイスを受けながら納得のいく作品を完成させてほしいと思います。

(2017年12月21日掲載)

放射線医学研究所に参加して

塾生 梶浦真美

 10月16日、放射線医学研究所の見学会に参加しました。

 最初に、研究所の紹介として「放射線の医学利用」と「放射線による障害の予防と治療」という、「攻め」と「守り」の両面から社会貢献をめざす研究機関であるというお話を伺った後、緊急被ばく医療施設、重粒子線棟、画像診断棟を訪れました。

 緊急被ばく医療施設は「守り」の部分を担う施設で、専門の職員が24時間体制で待機しておられるそうです。重度の被ばくを想定して設置された除染台の前で、職員の方が「幸い、こちらはまだ使用したことはありません」と話しておられたのが印象的でした。

 「攻め」の研究を行う重粒子線棟、画像診断棟では、がん治療に必要な重粒子線を作る装置HIMACや開発中のPET装置などを見学しました。いずれも世界最先端の技術ですが、コストの低減や精度の向上を目指して現在も改良を重ねているとのことです。

重粒子線がん治療装置HIMAC(模型)
1993年に完成した世界初の重粒子線がん治療装置で、サッカー場ほどの大きさがある。その後、普及に向けての小型化研究が進められ、現在では、3分の1ほどの規模の普及型施設が群馬大、佐賀県、神奈川県で稼働している。

 「守り」にしても「攻め」にしても、健康と安心を支えるための研究に終わりはないということを感じた見学会でした。説明をしてくださった方々の生き生きとしたお話ぶりが心に残っています。ジャーナリスト塾第4回で教えていただいた「自分の目で見る」ことの大切さを体感できたのも、大きな収穫でした。

(2017年12月21日提出)

科学ジャーナリスト塾開始から1ヶ月

塾サポーター 柏野裕美 

「プロと学ぼう!〜企画する、取材する、伝える〜」 と題し、第16期科学ジャーナリスト塾が14名の塾生を迎えて9月7日に始まりました。今期の塾では、塾生ひとりひとりが自らテーマを決めて企画を立て、取材や講師陣による添削等をとおして作品に仕上げるまでの一連のプロセスを学びます。

 初回から第3回までの講義を経た現在、塾生たちは企画書の2回目の練り直しに取り組んでいるところです。

 それでは、開講式からこれまでの様子をお伝えいたします。

●塾生同士が活発に交流する開講式

 9月7日、東京・内幸町の日本プレスセンタービル 8階会議室で開講式が開かれました。

 塾長の室山哲也理事が「主役は皆さん。 塾が終わったときに、自分なりに勉強になったことが一つでも得られるよう取り組んでください」と挨拶し、 各回の講師を務める理事や事務局員、塾の運営をボラ ンティアで支える元塾生らサポーターを紹介しました。

 ガイダンスでは、塾長が塾のカリキュラムとねらいを説明し、次回の講義にむけた宿題として「これが東京だ」をテーマに した写真1枚と、各々の興味に応じた企画案をA4 用紙1枚にまとめてくるようにとの説明がありました。

 「とにかく書いてみる。書けば次の扉が開く」という室山塾長のアドバイスに、塾生は熱心に耳を傾けていました。 

開講式に集まった塾生たちに挨拶する室山塾長(左端)ら(撮影 高木靱生)

 その後、会場では塾生と 塾関係者が「私のキーワード」を書いたA4 用紙1枚の紙を持って歩き回りながら自己紹介をする「回遊コミュニケーション」を行い、和やかな雰囲気のなかでお互いを知り合いました。

自己紹介しあう塾生(撮影 都丸亜希子)

 最後に、柴田鉄治理事から「科学ジャーナリズムとは──失敗から考える」をテーマに、日本の科学 ジャーナリズムが何をしてきたか、何ができなかったのか、についての講演がありました。

●1枚の写真に企画書の立て方を学ぶ

 9 月 14 日に開催された第2回の講義は「企画の立て方、取材・写真撮影の仕方」で、元NHKエデュケーショナル社長の軍司達男さんと室山哲也塾長が講師を務めました。

 まず、NHKでプロジェクトXやNHKスペシャルなど数々のドキュメンタリーを手がけてきた元プロデューサーの軍司達男さんから、企画が生まれるまでの発想の手がかりやアイデアを発展させる方法について、プロジェクトXが誕生した経緯などを交えたお話があり、塾生はみな一様に真剣な表情で聞き入っていました。

 室山塾長からは写真の撮り方について、 “写真が持つ意味”や“切り取った断面図の向こうに物語があるか”などのアドバイスがありました。塾生たちが撮影した写真はバラエティに富んでおり、表現に多様性があることをお互いに実感することにもなりました。

 この日の講義をふまえ、前回提出した企画書を練り直して再提出するという宿題が課されました。

●展示会での現場取材と企画書の練り直し「問題意識を明確に」

 科学ジャーナリスト塾が開催されて間もないタイミングで、国際福祉機器展が東京ビッグサイトで開催されました。塾生のテーマ選びに役立つよう設定された現場取材の機会です。塾生が展示会に足を運んだのは、2日目の28日。平日ということもあり、参加時間は各自の都合に合わせて、自由に取材をして回りました。

ブースで機器の試着をしながら取材をする16期塾生の岡本有司さん(撮影 柏野裕美)

 出展ブースで足首アシスト装置を取材していた塾生の岡本有司さんは「機器の安全性を設計面でどのようにクリアしているかなどを具体的に聞くことができた」と、取材の感想を話してくれました。

 また同日夜には、第2回講義の「企画の立て方」の内容を受けて塾生たちが書き直した企画書を、さらに練り上げるための講義がプレスセンターで開かれました。

 各自30秒で企画を売り込む発表をした後、塾長やアドバイザー、周りの塾生からフィードバックを受け、どこを改善すべきかを考えるヒントが得られた講義になったようでした。

 多くの塾生に「その企画で訴えたいオリジナルの問題意識は?」という問いが投げかけられていたのが印象的でした。

 科学ジャーナリスト塾は来年2月までほぼ隔週の木曜日に全10回にわたって開講、塾生は座学と現場取材を組 み合わせたカリキュラムで実践的に学んでいきます。

 次回の報告をお楽しみに!

(2017年10月7日掲載)

第16期科学ジャーナリスト塾のご案内



第15期の科学ジャーナリスト塾のようす

・2016年8月〜2017年2月に開かれた科学ジャーナリスト塾第15期の記録は、こちらをご覧ください。
・2015年10月〜2016年3月に開かれた科学ジャーナリスト塾第14期の記録は、こちらをご覧ください。


第16期科学ジャーナリスト塾

「プロと学ぼう!~企画する、取材する、伝える~」

 日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ、佐藤年緒会長)は2017年度に第16期科学ジャーナリスト塾を9月から半年間、開講します。今期は座学と実習の組み合わせで学ぶほか、見学や研究者を取材する機会も盛り込み、原稿執筆やプレゼンテーションに挑戦してもらいます。JASTJ理事やサポーターが応援します。多くの皆さんの参加、そしてJASTJ会員の参加もお待ちしています。
 第16期の塾生の募集は終了しました。多数のご応募・ご参加ありがとうございます。

■塾の内容

 科学ジャーナリスト塾では、塾生が講師の話を聞くだけでなく、その話題について論議したり、書いたり、作った原稿や作品へのコメントを受けたりすることができます。今期は、参加者が自由に題材を決めて作品を完成させますが、題材決定に役立つように、複数の取材現場を体験できるようにしてあります。

 ジャーナリズムの基本は「視点は深く、表現は易しく」。いくら素晴らしい取材でも、伝わらなければ意味がありません。その基本を体得していただくために、JASTJの経験豊かなジャーナリスト、プロデューサーがあなたを応援します。「最終作品」は記事かプレゼンを選択していただきますが、その成果はJASTJのHPや会報でも紹介する予定です。

(昨年の塾の活動内容は以下のホームページで見ることができます。www.jastj.jp/tcsj15th

■期間

 9月7日(木)にスタート。原則第1、第3木曜日の午後7時~9時、2月の修了時まで計10回。(状況に応じて変則スケジュールあり)。共通の取材先は2か所用意しますが、その他のオプション取材(希望者のみ)はその都度お知らせします。

■場所

 日本プレスセンタービル8階特別会議室(千代田区内幸町2-2-1)
 最寄駅は 地下鉄「霞ヶ関駅」下車2-5分、都営地下鉄「内幸町」下車2分。

 実習内容によっては場所を変える場合があります。

■スケジュール(予定)

2017年
 ① 09/07(木) ガイダンス
 ② 09/14(木) 講義1「企画の立て方、取材の仕方(写真撮影も)」
 ③ 09/28(木) 現場取材(国際福祉機器展9/27-29:ビッグサイト)
 ④ 10/12(木) 講義2「文章の書き方、構成の仕方」
 ⑤ 11/02(木) 講義3「プレゼンテーションの仕方」
 ⑥ 11/16(木) 講義4「編集の仕方、まとめかた」
 ⑦ 12/14(木) 現場取材(国立天文台:ふたご座流星群を見る夕べ)
2018年
 ⑧ 01/11(木) 作品発表+指導
 ⑨ 02/08(木) 作品発表+指導
 ⑩ 02/15(木) 作品発表+指導+修了式

■オプション取材(予定)

・シーテックジャパン取材(10/3(火)-6(木))
・「人工知能とジャーナリズム」シンポジウム(12/17(日))早稲田大学大隈記念小講堂
・量子科学技術研究機構放医研見学(10/16(月):千葉稲毛)

■アドバイザー

瀧澤美奈子(サイエンスライター、JASTJ副会長)、高橋真理子(朝日新聞科学コーディネーター)、内城喜貴(共同通信社客員論説委員、JSTサイエンスポータル編集長)、漆原次郎(サイエンスライター、JASTJ Web編集長)、高木靭生(元日経サイエンス編集長、JASTJ会報編集長)、軍司達男(元NHKエデュケーショナル社長・科学ジャーナリスト)、柴田鉄治(元朝日新聞科学部長・社会部長)、保坂直紀(サイエンスライター)、縣秀彦(国立天文台天文情報センター普及室長)、鴨志田公男(毎日新聞論説委員)、武部俊一(科学ジャーナリスト、元朝日新聞論説委員)ほか

■塾受講料

25000円(JASTJ会員は10000円)*部分参加はありません

■塾への申し込み方法

 希望者は、氏名、所属(または職業)、住所、連絡方法、メール、電話番号のほか、参加の動機(400字程度)を書いて塾事務局宛て(juku-16-office@jastj.jp)にお申込みください。

 8月20日まで。ただし、人数が定員(約20人)に達した時点で締め切ります。

 手続きについては受付後に連絡します。受講料は8月末までにお支払いいただきます。

■事務局、サポーター

室山哲也(塾長、NHK解説委員)、柏野裕美(元塾生)、都丸亜希子(元塾生)、高山由香(元塾生)、早野富美(元塾生)、今野公美子(朝日小学生・中高生新聞)、中野薫(JASTJ事務局塾担当)他

〔事務局〕

日本科学技術ジャーナリスト会議 〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3 東京理科大学1号館13階

電話 070-1448-8800 メール hello@jastj.jp ホームページ www.jastj.jp