科学ジャーナリスト塾第15期(2016年9月〜2017年2月)の記録

第10回(2017年2月15日(水)開催)「完成記事の発表、修了」報告

卒業は新たな始まり
宮澤直美(第15期塾修了者)

 最終回は、web掲載された最終作品を投影しながら始まった。改稿の早かった順に、塾生が作品の前回からの変更点や込めた思いを発表した。これまで共に指導を受け、互いに意見を交わした仲間の作品には、いつの間にか愛着がわいていた。前回も講師だった漆原次郎氏からのコメントは褒め言葉中心で、今後も書き続けようという気持ちを後押しされた。

 仕事にも意欲的な塾生であればこそ、平日の参加が難しくなってしまうこともあるようで、塾生16人中、出席11名、web掲載9作品(2月15日現在)となった。うち2作品は今回初の登場。サメとサンゴへの熱い思いが伝わる意欲作だった。思えば、塾生の状況は様々だ。すでに書くことを仕事にする人、将来を考える学生、社会活動を続ける女性たち……。後半は、講師陣・先輩も含めた懇親会となったが、とても時間が足りず、それぞれの思いが会場に溢れた。

 アルコールが少し入ったところで、佐藤年緒塾長より修了証書が授与された。記念品にJASTJ編『科学を伝える‐失敗に学ぶ科学ジャーナリズム』をいただいた。そして、藤田豊さんと私が皆勤賞!

 普段はその作品を通じて触れるだけの人たちから指導を受けられる塾。今期はテーマを設定して見学に出るなど、初めての試みも多かったという。この貴重な機会を皆勤できて満足。照れ隠しに「暇人です」などと言ってしまったが、ただ貪欲なのだ。

 今回、生まれたつながりを大切に、これからも新しいことを吸収し、発信し続けていきたい。

収穫は「たくさんの目」の種でした
高山由香(第15期塾修了者)

 2月15日は科学ジャーナリスト塾の最終回だった。およそ半年間、共に学んだ仲間と会うのも今日で一区切りと思うと、社会人の私でもソワソワしてしまう。講師は前回に続き、サイエンスライターの漆原次郎氏。どことなく落ち着かない空気を引き締め、丁寧かつ鋭い解説で最後の講義が進んでいった。

 10名の塾生が卒業制作の最終公開添削を受けた。自分が書いた文章がほんの少しの修正で劇的に改善されるのは、嬉しい反面とても悔しい。この「ほんの少し」の違いの積み重ねが、プロフェッショナルの仕事なのだ。

 後半は卒塾セレモニーで、皆勤者の発表や講師陣・サポーターからのメッセージなどがあり、急に寂しさが湧いてきた。はがきサイズの終了証書は、手帳に貼ってお守りにした。

 塾では、多くのプロとのご縁をたくさんいただいた。また、ディスカッションを通して「世の中には自分とは違う考えの人がいる」ことを実感した。回数を重ねると、自分の意見を持つと同時に「彼ならどう考えるだろうか」「彼女ならこの点を心配するはずだ」と、具体的な人物像が、私の中に形成されてきた。同じテーマで話題の切り取り方や興味の持ち方を比較したことで、「他者の目」の種を拾ったのかもしれない。

 不特定多数の読者へ向けて情報を伝えるとき、この「目」をどのくらい持っているかで伝わり方に違いが出るだろう。これからも意識して種を集め、よい書き手になると心に誓った。

 
第10回塾のようす(撮影:都丸亜希子)